学園を繋ぐあたらしい道を見つけよう
昔の暁星
露台の両側には手摺がありました
校地に高低差のある地形は、古くから『露台』という印象深い景色を作りだしました。
現在の正門と聖堂を結んでいる姿は、上グラウンドと下グラウンドの境目にあり、かつては、スロープ状の崖と平行に、橋のように両側に手摺の付いた形をしていました。写真の右側が下グラウンドとなります。
大使館側の塀には歴史があります
中高の敷地は、以前は、和洋学園と講堂を結んだ線まででした。
つまり現在の正門や事務棟は、隣地でした。当時の正門は、フィリピン大使公邸側にありました。その後校地を譲り受け、現在の正門となります。
小学校との間の二合半坂のレンガ積みの塀は、千代田区の景観まちづくり重要物件として指定されています。
旧キャンパス配置図には仏語表記があります
左の写真には、殆んど確認できませんが、仏語での表記もあります。暁星学園と仏語との強いつながりが感じられます。
右の写真は、関東大震災(1923年)前の聖堂です。写真中央の聖壇の一部を、現在、小学校ロビーに展示してあります。
以前の聖堂は木造で小聖堂でした
現在の聖堂は、創立80周年(1976年)に建てられましたが、それ以前の聖堂は木造で、今の聖堂からプールの方に向かって建っていました。写真の露台の端にある2階建の上部が聖堂だったようです。下階は、小学校の寄宿舎などに使われていたこともありました。
現聖堂は建設当時は雛壇つきでした
創立80周年(1967年)に建てられた2代目の聖堂の正面には、当初、階段が付いていました。
写真では、露台の奥に聖堂の正面階段が見えると思います。卒業記念等のグループ写真の雛壇として、撮影ポイントでした。
右手前の平屋の建物は当時の職員室で、屋根の上の木の枝は三角広場の端に現在も残る椎の木です。
講堂は建設当時の画期的な建物でした
1932年(昭和12年)に完成した現在の講堂・体育館は、当時の耐震建築として鉄骨を使った鉄筋コンクリート造の「近代建築」として評判でした。
現在の建築からは考えられないほど繊細な多数の部材を繋ぎ合わせた構成が分かります。
製鉄技術や軍需の為の鉄鋼飢饉など材料供給上の苦労もあったと想像されます。
以前の体育館はバスケ1面ですが
以前の体育館は1932年に講堂と一体に建設され、当時は体育場と呼ばれていましたが、今も同じ大きさの空間です。
バスケットのコート1面の広さで、天井の鉄骨の梁もそれほど高くはないので、公式のバレーボールには少々支障があります。地下階ですが、両側の高窓から自然光が注ぎ暗い印象はありません。
今の暁星
地形を活かしたユニークな2段グラウンド
上グラウンドと下グラウンド
富士見の地形は、高低差が特徴的です。地形を活かしてキャンパス内には昔から2段のグラウンドがあり、その境目が露台です。
現在、グラウンドの表面には人工芝が全面的に張られ、1年中美しいグリーンが目にはいります。試行錯誤を重ね、より安全な素材が選ばれていますが、次は、更に良いものとなるでしょう。
大使館側の塀には歴史があります
聖堂は、入学・卒業の記念式典など想い出の深い建物です。ミッションスクールに在籍した象徴的な体験です。
高窓からの静かな光が、心の窓も暖かく照らしてくれます。
卒業後も、結婚や葬儀の際に使われる先輩も多くいらっしゃいます。
人生の節目に寄港するポイントにもなっています。
講堂の舞台に立つとき
1,300名を超える視線をうける機会は、人生において何回やってくるでしょう。エトワール祭の舞台も、将来のもっと大きなステージの稽古となるのかもしれません。
思い出が沢山詰まった講堂、改修を重ねながら永く使ってきましたが、そろそろ幕引きが近づきました。
次のステージに立つ期待が膨らみます。
体育館の響き
こじんまりとしたスペースでは、自分の動きに呼応して、息遣いが壁や天井から反射してきます。
まるで、もう一人の自分と戦っているように。
補修しながら使ってきた体育館のアリーナは建設当初から今日まで同じ大きさです。
早朝や夕方、一人で電気を点け消しする時には、80年ほどタイムスリップしたような錯覚に陥ります。
スポーツと練習
柔道場・剣道場・トレーニング室
身体を鍛えることを通じ、昨日までの自分を越える挑戦をしていきます。心も一緒にもっと強くなるような気がします。
その先に「悟り」の境地が見えてくるのでしょうか。個々の体調は異なります。みんなで使う空間ですから、怪我をさせないように安全と清潔管理には常に細心の注意が必要です。
これからの暁星
新キャンパスは、敷地内に赤と緑の2軸を設けるイメージを具体化し、学園全体に一体感を生み出そうとしています。
赤色の矢印は伝統的な露台に象徴される正門からの道です。
緑色は、幼稚園と小学校を中高の敷地内で結ぶ、学園を繋ぐあたらしい道です。
【基本設計図から抜粋】